13.
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事件の裁判は、被告人が身体無しで出廷するという異例のものになった。 |
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数年後… 「ねぇ、警部さんは!?」 刑事部屋に駆け込むなり、近くの同僚に尋ねる。 「あれ。 サチさん、警部と一緒に出たんじゃなかったの?」 「私は聞いてないわ! どこに行ったか知らない?」 「例の兵器密輸の現場を偵察してくるって言ってたけど」 「なっ!…そういう忍び込む仕事は私の役目だって言ったのに!」 同僚への礼もそこそこに、私は窓から署を飛び出した。 「警部さんが行ったら、偵察どころか御用改めになるに決まってるじゃない… もう、すぐ一人で突っ走るんだから…」 取引現場と目される波止場に着いてみると、案の定、警部さんが倉庫の屋根の上で仁王立ちになっていた。 コンテナの陰から窺ってみると、倉庫の周りには、警部さんに銃を向ける密輸犯たちが数十人。 (やっぱりね…) すでに一触即発。 予想通りの事態はいえ、思わずがっくりと肩を落としてしまった。 (とにかく、まずは連中の注意をそらさないと) 昔とった杵柄だ。 手早く発煙弾を装填し、直感で弾道と炸裂地点を決定する。 腕部からせり出した砲身を密輸犯たちの風上に向け、トリガーを引いた。
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爆音とともに、倉庫付近の一帯が煙に包まれる。
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三十分後。 既に密輸犯全員の拘束が完了してから二十七分、ようやく警官隊が現場に到着した。
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