|
|
||
7.
|
精神科病棟505号室から現れたのは、少女を乗せたベッドと、それを押す不審な男が一人。
|
|
男達は焦っていた。 反対側のエレベーターを目的の一階で降り、真っ直ぐ予定のルートに戻ろうとしたが、 その途中には産婦人科の病室が並んでいた。 「どうします? この小娘が起きたら…」 男達は、赤ん坊の夜泣き声が響く廊下を通る事に躊躇した。 「睡眠薬が効いてるはずだ、そう簡単に目は覚めないはずだが…」 「しかし、誰かに見られたら…」 夜でも寝静まる事の無い人の気配。 結局、男達は更なる迂回を決断した。 「くそっ、急げよ! 前回みたいな人違いをしないために、時間は厳密に守れと言われてるんだ」 ベッドのキャスターがガラガラと音を立てる。 既に男達には足音を忍ばせる余裕も無い。 そんな彼らが、足元に待ち構える細い鋼線に気付くはずがなかった。 病棟から本館への連絡通路を渡る。 「よし、もうすぐ手術室だ。 なんとか間に合…」 男達の気が緩んだその瞬間、前を走る五人が前にのめった。 「なっ!?」「うおっ!?」 何が起こったかも分からず、派手に転倒する五人。 「バッ、バカ!」 目一杯の速度で走っていたベッドは、止まり切れずに男達の身体に乗り上げ、バランスを崩し… 男が覚えているのはそこまでだった。 天井に張り付いていた人影が音もなく背後に降り立ち、 掌に仕込まれたスタンガンを自分の首筋に押し付けた事に、男は気付かなかった。
|
|
「痛ぇ…」「ぐっ…」
|