警部さんが機械の身体に生まれ変わったとき、カズヒロさんが警部さんに人工性器を取り付けた理由。
そんなのは一つしかない。 男だったら、好きな人と交わりたいというのは自然な感情だし、
警部さんがそれに気付かないはずは無い。
暫しの沈黙。
二人の邪魔をしてはいけないと、私が席を外そうとしたとき、警部さんが口を開いた。
「…そんなに言う度胸が無いの?」
“好きです”って告げてしまえばいいのに。 そう警部さんの目が言っている。
「いえ、そんなことは無いです! でも、僕には言う資格がありません…」
「それは、あなたのお姉さんが犯罪者だから?」
「ただの犯罪者じゃありません。 サチさんから人の身体を奪った挙句、警部が自分から身体を捨てる遠因に
なった女ですよ?」
「私はそんな事気にしないわ。 もちろんサチだって、あなたに不快な感情は一切抱いていない」
警部さんの言葉を受けて、私もカズヒロさんに大きく頷いてみせる。
「それでも、僕自身が納得できないんです」
絞り出すようなカズヒロさんの声。
「たとえ気にしないと言われても、僕の方が勝手に負い目を感じてしまって…
警部と、その、そういう関係になれる自信が無いんです…」
そう言って、カズヒロさんは俯いてしまった。
「そう… 仕方ないわね。 本当は、あなたから言って欲しかったんだけど」
「…?」
警部さんは、覚悟と恥じらいの混じった表情を浮かべていた。