2.
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あの子に電撃を浴びせ、何の罪も無い老人を突き飛ばし、私は無事に「獲物」をアジトに持ち帰った。 |
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戸を開けてカプセルの中に立つ。 何十本ものコードが全身の端子に入り込み、同時に足元から緑色の液体が満ち始める。 盗む事への嫌悪も、改造された身体の事も、何もかも感じないこの眠りの時間だけが、私の唯一の安らぎだ。 なのに、今日の私はその安らぎを、自分の一言でぶち壊してしまった。 「その石板、一体何に使うの? あなたは何故そんなものを集めて…」 あの老人への自責の念からか、老人の知りたかった事をつい口にしてしまったのだ。 「ふうん、道具のくせに私のすることに口出しするつもり?」 女の視線が私を貫く。一瞬で私の背筋は凍りついた。 「あっ…いえ、何でもないんです。ひ、ひとり言です…」 「大した好奇心ね。ご褒美にいい夢を見させてあげるわ」 女がカプセル脇のスイッチを押す。たちまち緑色だった液体が真っ赤に染まりはじめた。 「ごめんなさい! お願いだから、それだけは…!」 女はカプセルのガラス越しに顔を近づけ、ニヤリと笑った。まるで私が苦しむのを愉しんでいるように。 「あ、あぁ…」 悪夢を見せる赤い液体の中で、私の意識は闇に引き込まれていった。
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(やめて…やめて…!)
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「今からお前は、生まれ変わる。サイボーグにな」
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そこから先の記憶は無い。でも、あの女は周到に続きを用意していた。
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そして悪夢はクライマックスを迎える。
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