「このっ…お願い、止まって!!」
十回目の捕獲網を射出する。
以前なら確実にアイツを束縛できた強化鋼線は、巨人のような腕に容易く引き千切られた。
(一体どうすれば…)
アイツが石板を強奪し、力任せに包囲網を突破してから、既に十キロは過ぎていた。
「あなた知ってる!? 石板はこれで最後なの。これを持ち帰ったら、あなたは用済みになってしまうの!」
私は必死にアイツの背中に呼びかける。
「私はあなたに死んで欲しくないの! だから止まって、お願い!」
「………あなた…しつこい」
返ってきたのは、明確な殺意だった。
「…えっ?」
アイツが急減速で停止し、石板を地面に置く。
そして、岩山のような肩に仕込まれた戦斧を抜き、構えた。
「そ、そんな…」
アイツは操られているだけの被害者だ。それが分かっている以上、私達が戦う理由は無いはずなのに…
「…ぁ…あああ!」
戦斧が唸る。ガードレールが寸断され、路面が砕け、電柱が薙ぎ倒されていく。
ただひたすらに振り回されるだけの戦斧をかわす事は不可能じゃない。
でも、捕獲・拘束用の武装が通じない以上、この戦いに終わりが見えなかった。