「それにしても何者なんでしょう、容疑者をこんな目にあわせた女は」
そう呟いたカズヒロ技術官の顔は、暗く沈んでいた。
「やっぱり許せないの? 同じ技術者として」
「うちは代々技術者の家系ですが、“人の道を踏み外す無かれ”と教えられてきましたから。
…道に背いた肉親が勘当されたのも見ていますし」
「それは、随分と厳しいのね」
「ええ。 自分たちへの戒めとして、ある家宝を代々大切に受け継いでいるほどですから」
「家宝?」
「古代の石板です。 なんでも、超古代文明が自らの技術力に溺れて滅亡する様子が書かれた…」
「ちょっと待って、石板!?」
「え、ええ…」
(まさか、石板は十二枚で全部じゃなかった!?)
「見せて! それはどこにあるの!?」
「うちの家にありますが、今はまだ夜明け前で…」
「ごめん、すぐ見たいの、案内して!」
彼の身体をひょいと持ち上げる。
「うわっ、わ!? ちょっと警部…!?」
軽くパニックを起こしている彼を抱えて、窓から暁闇の空へ飛び出した。