(いやだ…こわい…)
身体が勝手に廊下の奥へ、あの女の部屋へ進んでいく。 感覚はあるのに、自分の意思では動けない。
私があの子の中にいるというより、あの子に取り憑かれて操られているというほうが、実感として正しかった。
扉が開く。
「ようこそ。機械の婦警さん」
あの声が無機質な部屋に響く。 壁には、十二枚の石板が方形に掲げられていた。
「よくこの場所が分かったわね…」
「余計なお喋りはいいわ、あなたには訊く事が山ほどあるもの。署の取調室でね」
「あら、窃盗容疑にしては随分と激しい敵意ね」
「黙って! あなたが肉体を奪った上に、奴隷として酷使していた娘の事、忘れたとは言わせないわよ」
(………)
「そう…機械にされた娘が可哀想なのね………なら、あたしはどうなの? あたしは可哀想じゃないの?」
『えっ…?』
女が、その身に纏った白衣を、するりと脱ぎ捨てる。
「なっ…」
その下から現れたのは、妖艶な顔に似つかわしい柔肌などではなく、
『私と、同じ!?』
怪盗ガジェットと呼ばれた私と全く同じ、金属の外骨格だった。