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その日、私は昼ごろから妙な腹痛を感じていた。 夜になってもおさまる様子はないし、何だか食欲もない。
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ともあれ、引き受けてしまったものは仕方ない。 タンスの奥から競泳用の水着を引っ張り出す。 「去年の水着、まだ着れるか確かめておかないと…」 これでも私はまだ成長期だ。 ところが、いざ服を脱いで着替えてみると、私の身体は小さなポリエステルの服の中に すっぽりと納まってしまった。 「………?」 なんか変だ。 去年から全然成長していない身体の事じゃない。 昼から感じていた腹痛が急に強くなってきている。 額に脂汗がにじんでいくのが分かった。 「痛……っ」 耐え切れずに、タンスの前にしゃがみ込む。 その激痛は、お腹の右下から発せられていた。 私はその水着姿のまま救急車に乗せられ、近所の大学病院に運び込まれることになってしまった。 診断は急性虫垂炎。 「大丈夫、必ず治るよ。 虫垂炎なんてよくある病気だから、心配しないで」 救急外来のお医者さんは、そう言って鎮痛剤を打ってくれた。 「虫垂炎って、やっぱり手術するんですか?」 「場合によっては薬で散らせるけど、君の場合は手術しないと無理だね」 「そうですか…」 「手術は今夜のうちにやる事になったから、心の準備をしておいてね」 「えっ、今夜!?」 心の準備なんて、とても間に合う筈なかった。
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私の寝かされたベッドは、手術室と一般病棟の境目の引継ぎ室に運び込まれた。
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