|
|
||
6.
|
夜が更けたにもかかわらず、日中の蒸し暑さが和らぐ様子はなかった。
|
|
機械の身体という私は、誰がどう見ても不審者だ。 かといって、光学迷彩の常時使用は エネルギーの無駄使いになる。 そこで、更衣室から看護服を一着、こっそり拝借する事にした。 「…と、これならパッと見バレないわよね」 ロッカーの隣の鏡に自分の姿を映してみる。 裾とニーソックスの間や、袖と手袋の隙間からチラリと黒い金属の肌がのぞいてしまうけど、 夜のうちは問題ないと思う。 頭のカチューシャ型のパーツは、ナースキャップでそこそこ隠れたし。 変装を終えてまず向かったのは、院内のコンピュータールーム。 誰もいないのを確認して、手袋を脱ぐ。 手首からプラグ付きコードを引出し、サーバーマシンに差し込んだ。 「管理の人には悪いけど…」 体内のメモリに保存しておいた、特製ウイルスをサーバーマシンにインストールする。 カズヒロさんが言うには、これはトロイの木馬という種類のウイルスで、感染したパソコンは 簡単にハッキングされるようになってしまうらしい。 『警部さん、聞こえますか? 任務その一、完了です』 無線で成功を報告する。 『私は引き続き、看護婦に変装して院内の探索を続けますね』 『了解よ。 こちらはすぐに病院のパソコンに侵入して、データを引き出すわ。 何か分かり次第、連絡するわね』 『はい、早めにお願いします。 それじゃ、また』 『サチ、大丈夫? 怪しまれたり正体ばれたりしてない?』 『大丈夫ですって。 ちょっと不届きな物を見つけちゃいましたけどね』
|
|
任務その二、それはつまり「新たな改造手術の芽を摘むこと」だ。
|