10.
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日はとうに暮れ、患者達が寝静まろうとする頃、J大付属病院の一室で、二人の男が密議を交わしていた。
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あたしは今、山奥の研究所で、父と話している。 「いよいよ明日だぞ、ミツコ。 世界で初めてのサイボーグが誕生する日は」 「本当によかったね、実験台に志願してくれる人がいて。 あたし、一人もいなかったらどうしようかと思った」 「ああ…でも、近いうちに、全ての労働者が機械化される時代がやってくるさ」 お父さんの笑顔。 「もう工場の自動化による雇用の減少を憂える必要はない。 人が機械に…道具になればいいのだからね。 さあ、明日のために、今日はもう寝ておきなさい」 「うん。 あたし、お父さんの助手として、改造手術を絶対に成功させてあげる」 その夜、興奮の醒めないあたしは、睡眠薬の力を借りて深い眠りについた。 そして次に目覚めたとき、あたしの身体はもう半分以上 人間ではなくなっていた。
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身体が動かない。
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そうして私の身体は、一部の筋繊維を残し、全て機械となった。
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私と警部さんがJ大付属病院に駆けつけたとき、すでにあの女は院内から姿を消していた。
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